太陽光発電の50kw未満と50kw以上の違い

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太陽光発電 50kw未満と50kw以上の違い

個人で産業用(10kw以上)太陽光発電設備を設置する場合、出力50kwが一つの境になります。一般的には、仮に50kw設置できる広さがあったとしても、49kwに抑えるのがよいとされています。出力50kwを境に、何が、どう違うのでしょうか?

 

「一般用電気工作物」か「自家用電気工作物」か

太陽光発電設備は、電気工作物となり、電気事業法の規制を受けます。50kw未満と50kw以上では、電気事業法の規制が異なります。

 

50kw未満の太陽光発電設備は「一般用電気工作物」、50kw以上は「自家用電気工作物」となります。「一般用」「自家用」この2つの言葉だけ見ると「一般用」と「自家用」が逆のように思えるかもしれませんね。

 

しかし法律では、まず「事業用」と「一般用」に分類され、「事業用」がさらに「電気事業用」と「自家用」に分類されます。このことを見れば「一般用」と「自家用」の区分も理解できるでしょう。

 

電気工作物

事業用電気工作物

一般用電気工作物

電気事業用電気工作物

自家用電気工作物

 

電気事業法第38条、同施行規則第48条において、一般用電気工作物は600ボルト以下の電圧で受電するものと定め、その中でも特に、出力50kw未満の太陽電池発電設備、出力20kw未満の風力発電設備・水力発電設備などを小出力発電設備として定めています。

 

また、事業用電気工作物は、一般用電気工作物以外の電気工作物、自家用電気工作物は、電気事業用電気工作物及び一般用電気工作物以外の電気工作物と定めています。

 

それぞれ具体的には、次のようなものです。

一般用電気工作物 住宅、小規模な店舗、事業所など電圧600ボルト以下で受電する場所の配線・電気使用設備など
電気事業用電気工作物 電気事業者の発電所、変電所、送電線路、配電線路など
自家用電気工作物 工場やビルなどの電気事業者から600ボルトを超える電圧で受電している事業場の電気工作物

 

電力会社との連系方式が異なる

太陽光で発電した電力を電力会社に売電するために、電力会社と系統連系する必要がありますが、その際、50kw未満は低圧連系(600ボルト以下)、50kw以上は高圧連係(600ボルト超)となります。

 

低圧連系では、原則として電力会社は発電者の電力の購入を拒むことはできませんが、高圧連系では、電力会社との事前協議が必要となります。まわりで使用されている電力に悪影響がないかなどを検討するためです。検討費用として21万円を電力会社に支払い、協議には2~3か月程度を要します。

 

その他、高圧連系の場合には、キュービクル(変電設備)の設置が必要となります。

 

電気主任技術者の専任や各種届出義務

技術者の資格や国への届け出義務が異なります。

 

50kw未満の太陽光発電設備の場合
  • 第一種または第二種の資格を持った電気工事士が作業を行います。
  • 国への各種届出は必要ありません。

 

50kw以上の太陽光発電設備の場合
  • 第一種または認定電気工事従事者が作業を行わなければいけません。
  • 電気主任技術者の選任、届出の義務があります。
  • 国の定める「技術基準」に適合するよう、太陽光発電設備を維持する義務があります。
  • 保安規程を定めて届け出る義務があります。

 

2,000kw未満の太陽光発電は、主任技術者を専任せず外部委託が可能

電気事業法において、事業用電気工作物の設置者は、その保安の監督をさせるため主任技術者を選任することが義務付けられています。

 

ただし、自家用工作物の場合、一定の要件を満たす法人・個人と保安監督業務について委託契約していて、それで保安上支障がないと国の承認が得られれば、電気主任技術者を選任しないことができます。これが外部委託制度です。

 

2013年6月28日に電気事業法施行規則の一部改正が行われ、太陽電池発電設備などについては、2,000kw未満まで外部委託が認められるようになりました。

50kw前後で迷っているなら50kw未満がおすすめ

出力50kwを境に、メンテナンスも含めコストが高くなり、手続きも面倒です。契約から売電開始までに要する期間も大きく違います。

 

ですから、もし50kw少々の太陽光発電をお考えなら、50kw未満に抑えることをおすすめします。

 

なお、本来、高圧で接続する50kw以上の大規模な発電設備を設置すべきところに、低圧で接続する50kw未満に分割して複数設置すること(低圧敷地分)は、2014年4月1日以降は禁止されています。

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